今世紀初頭から、ニューヨーク・ブルックリンで進められてきたジェントリフィケーション。その過程をふりかえり、メカニズムを分析し、人種や階級、ジェンダーによる「分断」が錯綜する時代に生きる住民たちの生活と闘争、そして「共生」への試みを描き出す。
序章 なぜブルックリンに注目するのかーーポスト・コロナ都市の実験室
I ブルックリンの都市変容と住民コミュニティの再編ーージェントリフィケーションが引き起こす「身体的共存」
1章 現代都市を変える力学ーーローカルな都市空間とトランスナショナルな不動産・金融複合体
2章 複数のブルックリンと予期せぬ共存
2 対立の争点としてのジェントリフィケーション
3章 「立ち退き」というパンデミックな感覚
4章 地元で「部外者」になるーーその場にいながらの排除
5章 地域の新たなアクターたちーージェントリファイアー論再考
6章 空間にひもづけられた「差異のるつぼ」--ミクロな差異の可視化と空間的共存の帰結
3 ジェントリフィケーションの再解釈と「共生」
7章 反ジェントリフィケーションの多様な実践
8章 人種横断的な共生の実践ーー再解釈されるジェントリフィケーション
9章 パンデミック時代の共生
終章 「分断」を学びほぐす
ゲスト
『ブルックリン化する世界 ジェントリフィケーションを問いなおす』は、森千香子による社会学的考察書で、ブルックリンで進行したジェントリフィケーションの事例を通して都市再開発や地域変容の現象を分析しています。文化やアート、住宅事情、コミュニティの変化など多角的に検証し、都市が「ブルックリン化」する過程やその影響を読み解きます。単なる現象報告にとどまらず、地域住民や政策の視点から問題点や可能性も提示されており、都市研究や社会学に関心のある読者にとって示唆深い一冊です。
