玉樹真一郎さんの「コンセプトのつくりかた 「つくる」を考える方法」は、単なるアイデア出しに留まらず、「つくる」という行為そのものを深く考察することで、より本質的なコンセプトを生み出すための思考法を提示する一冊でした。
本書では、コンセプトを「言葉の束」として捉え、その束を「束ねる」「ほどく」「ずらす」「重ねる」といった操作を通して、新たな意味や価値を生み出すプロセスが詳細に解説されています。
これらの操作は、既存の概念やアイデアを組み合わせたり、分解したり、視点を変えたりすることで、独創的なコンセプトを創り出すための有効な手段となります。
また、本書は単に思考法を解説するだけでなく、豊富な事例やワークショップ形式の演習問題を通して、読者が実際に手を動かしながらコンセプトを創り出す力を身につけることができるよう工夫されています。
本書を読み終えて、私が最も印象に残ったのは、「つくる」という行為は、単なる作業ではなく、思考と試行錯誤の連続であるということです。
コンセプト作りは、まるでパズルを解くように、様々な要素を組み合わせながら、最終的な形を作り上げていく過程に似ています。
「コンセプトのつくりかた」は、アイデアを生み出すことに苦労している人だけでなく、より深く「つくる」という行為について考えたい人にとっても、多くの示唆を与えてくれるおすすめの一冊だと思いました。