優雅で厳しい裏側まで――英国執事とメイドの歴史と日常を知れる必読書 5選
英国の洗練された家事のプロフェッショナル、執事とメイド。彼らの魅力に引き寄せられてしまいますよね。だけど、その美しい世界には厳しさもあるんです。優雅さだけでなく、汗と涙の舞台裏まで描かれた作品5選をご紹介します。ロマンチックな物語から社会派まで、泣き笑いはもちろん、そんな彼らの生き様から学ぶことも多いはず。自分もそんな執事やメイドになれるかな、なんて一瞬考えたり。そんな想像力を喚起する作品ばかり。どれも目が離せなくなる頁たちで、読後感も最高。あなたも心地良い読書時間を楽しんでみてくださいね。
『図説 英国執事 新装版 貴族をささえる執事の素顔』
古き良き時代の、貴族と男性使用人たちの生活とは? 何を思い、どんな仕事をしていたの? 何時に起きて、給料はいくら? 出世の道は? 恋や結婚は? 御主人様や奥方様とのあやうい関係? ときには犯罪に走ることも……?
コミック『黒執事』作者、枢やな氏推薦!
【本文より抜粋】
●第4章「執事の日課」より
「私は正面玄関までの階段をのぼり、ドアベルを鳴らしました。すると、お仕着せ姿のあかぬけたフットマンが出てきました。私は、執事のミスター・リーを呼んでくれるよう頼みました。
『あなたは下級執事の職に応募してきた人でしょう』と彼は物柔らかに言います。
『そうです』と私は答えました。
『では、通用口のほうにお回りいただけますか。空堀(エアリア)を降りて、そこにあるベルを鳴らしてください。こちらのドアはアスター卿夫妻とそのお客様専用です』
私は一フィート(*三〇・五センチメートル)ばかり身長の縮む思いをしながら、言われたとおりにしました。すると驚いたことに、下のドアを開けて現れたのは、さっきと同じフットマンだったのです。満面の笑みをたたえています。
『ずっと長いこと、これを言えるときを楽しみにしていたんだ』と彼は言います。
『俺がこの仕事を始めたとき、同じことをやらかして、いまみたいな歓迎を受けたものでね』
この男は、あとでわかったことですが、ゴードン・グリムレットで、彼と私は生涯の親友になりました」
●第7章「執事の堕落」より
スタッフの窃盗に目を光らせていたアーネスト・キング(執事)だが、そういう彼自身も、若き日にはちょっとした「過ち」を犯したことがある。温室で育てられた、その年初めてのイチゴを、誘惑に負けて食べてしまったのだ。がまんできずに二つ目を口元にはこんだところ、後ろから声をかけられた。「アーネスト、ほどほどに頼む! 私の分も少し残しておいてくれよ」──主人はそれだけ言って去っていった。彼にとって「生涯一度きりの窃盗」であった。
| 作者 | 村上 リコ |
|---|---|
| 価格 | 1980円 + 税 |
| 発売元 | 河出書房新社 |
| 発売日 | 2019年01月21日 |
『図説英国メイドの日常 = The World Downstairs at the Turn of the Century-The Daily Life of the British Maidservant』
| 作者 | 村上,リコ |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 河出書房新社 |
| 発売日 | 2023年01月 |
『英国メイドの世界』
| 作者 | 久我,真樹 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 講談社 |
| 発売日 | 2010年11月 |
『英国メイドマーガレットの回想』
| 作者 | Powell,Margaret,1907-1984 村上,リコ |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 河出書房新社 |
| 発売日 | 2011年12月 |
『おだまり、ローズ : 子爵夫人付きメイドの回想』
| 作者 | ロジーナ・ハリソン 新井潤美 新井雅代 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 白水社 |
| 発売日 |
それぞれの作品を通して、一見華やかで美しいだけではない、英国のカントリーハウスに暮らす執事とメイドたちの世界を垣間見ることができました。室内の美しさ、豪華な食事、そして何よりもその全てを支えるスタッフたちの努力と技術。
それは、ただ単に品位と格式を保つためではなく、主人と家族を最上の生活空間で迎え入れるための必要な作業です。しかし、その裏には厳しい教育と訓練、労働時間の長さ、攻め入る孤独感、そしてしばしば訪れる主人や家族からの無理解な要求という、我々が知らない過酷な現実が隠されています。
それでもなお、主人の為、家庭の為、そして何よりも誇りを持って仕事をする自分自身の為に、彼らは黙々とその役割を果たし続けます。それは決して華々しい物ではありませんが、彼らが果たしている役割は、誰にも代え難い存在感と尊厳を持っています。
それぞれの作品が、その役割を全うする執事とメイドたちの姿を見事に描き出しており、一読の価値があることは間違いありません。ふとした空き時間に、これらの作品を手に取って、彼らの生きざまを体験してみてください。あなた自身の日常が、きっと新たな視点で見えることでしょう。
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