古内一絵の小説 おすすめ6選

古内一絵さんの作品を6冊ピックアップしました。その世界感にただただ惹き込まれます。だいたいどの作品も、実に緻密な描写と卓越した人間観察力が持ち味。鋭い洞察力で人間の心情を描く姿勢は、読者の心をグッと掴みます。時には厳しい現実を描きながらも、高度な教養とユーモラスな心で包み込んでくれます。深い思索を誘う作品もあれば、まっすぐな感情が胸を打つ作品も。そして何より、誰もが共感できる繊細な心情描写が魅力的。まだ古内一絵さんの作品に触れたことがない人も、この機会にぜひ手に取ってみてください。きっと新たな発見があるはずです。
『東京ハイダウェイ』

ようこそ、心休まる「隠れ家」へ。
東京・虎ノ門の企業に勤める桐人は、念願のマーケティング部に配属されるも、同期の直也と仕事への向き合い方で対立し、息苦しい日々を送っていた。
直也に「真面目な働き方」を馬鹿にされた日の昼休み、普段は無口な同僚の璃子が軽快に歩いているのを見かけた桐人は、彼女の後ろ姿を追いかける。
たどり着いた先には、美しい星空が描かれたポスターがありーー「星空のキャッチボール」
桐人と直也の上司にあたるマネージャー職として、中途で採用された恵理子。
しかし、人事のトラブルに翻弄され続けた彼女は、ある日会社へ向かう途中の乗換駅で列車を降りることをやめ、出社せずにそのまま終着駅へと向かう。
駅を降りて当てもなく歩くこと数分、見知らぬとんがり屋根の建物を見つけ、ガラスの扉をくぐるとーー「森の箱舟」
……ほか、ホッと一息つきたいあなたに届ける、都会に生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた、6つの癒しの物語。
【著者略歴】
古内一絵 (ふるうち・かずえ)
東京都生まれ。映画会社勤務を経て、「銀色のマーメイド」で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞、2011年にデビュー。2017年に『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、同作で第6回JBBY賞(文学作品部門)を受賞。
他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、「風の向こうへ駆け抜けろ」シリーズ、『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』『山亭ミアキス』『百年の子』などがある。
作者 | 古内 一絵 |
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価格 | 1980円 + 税 |
発売元 | 集英社 |
発売日 | 2024年05月24日 |
『風の向こうへ駆け抜けろ』

爽涙!スポーツ小説の大傑作、待望の文庫化
芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。だが、彼女の受け皿となったのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。そこにいる調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった。
弱小厩舎のため強い競走馬も持てず、さらなる嫌がらせを受け、困っていた矢先に出合った一頭の馬。虐待により心身共にボロボロだったこの馬も懸命な介護と歩み寄りにより、生まれ変わったかのような素晴らしい競走馬に変貌を遂げる。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から、徐々に皆の心は一つとなり、ついには夢のまた夢である狭き門、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、その行く手には様々な試練が待ち受ける。温かな絆でつながった彼らの運命は…?
偏見、セクハラ、虐待、裏切り、老い…。様々な理由から心に傷を抱え、人生をあきらめかけている人間達の起死回生ストーリー。人は何歳からでも成長できる、そして人生はやり直せる。すべての方々に読んでいただきたい、人生への応援歌となる1冊です。
【編集担当からのおすすめ情報】
単行本として刊行されてから、競馬ファンにも競馬に興味がない方からも熱い支持を受けたスポーツエンタメ小説です。もともと乗馬が趣味で馬が大好きな著者がみっちりと一年間かけて取材したからこそ可能になった臨場感溢れる競馬描写、馬好きだからこそ書ける馬への愛情溢れる目線…。
この本が刊行された翌年、彗星のように登場した人気女性騎手、藤田菜七子さんも、この本を大絶賛してくれています。オビコメントだけでなく、彼女だからこそ語れる特別インタビュー「私にとって大切な一冊」にもご注目ください。藤田菜七子さんの言葉を借りれば「この本を読んだ人はみんな勇気が湧いてきて、元気になれる」一冊です。
読後の圧倒的爽快感を是非体感してみてください。
小説の力を感じるはずです。
プロローグ 4
1 卒業 7
2 出発 19
3 厩舎 31
4 追憶 54
5 初戦 71
6 特別 86
7 秘密 100
8 真相 120
9 苦戦 138
10 決意 152
11 運命 173
12 夜空 188
13 調教 196
14 能試 213
15 認定 232
16 遠征 251
17 女王 275
18 反動 294
19 傷痕 318
20 挑戦 343
21 桜花 380
エピローグ 403
私にとって大切な小説 藤田菜七子 407
作者 | 古内 一絵 |
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価格 | 759円 + 税 |
発売元 | 小学館 |
発売日 | 2017年07月06日 |
『銀色のマーメイド』

危機を迎える。残ったのは「プール好き」のアニオタ&水中歩行要員のみ。部の存続のため部員集めに奔走する龍一は、市民プールで水中を滑降するように泳ぐ“人魚”を見つけた。それは同じクラスの謎めいた美少女・雪村襟香で?『快晴フライング』改題
あの「マカン・マラン」の原点がここに! 人気キャラ・シャールさん初登場作品です。
作者 | 古内一絵 |
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価格 | 770円 + 税 |
発売元 | 中央公論新社 |
発売日 | 2018年09月21日 |
『百年の子』

昭和〜令和へ壮大なスケールで描く人間賛歌
人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。
舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。
世界に例を見ない学年別学年誌百年の歴史は、子ども文化史を映す鏡でもあった。
なぜ祖母は、これまでこのことを自分に話してくれなかったのか。その秘密を紐解くうちに、明日花は、子どもの人権、文化、心と真剣に対峙し格闘する、先人たちの姿を発見してゆくことになる。
子どもの人権を真剣に考える大人たちの軌跡を縦糸に、母親と子どもの絆を横糸に、物語は様々な思いを織り込んで、この先の未来への切なる願いを映し出す。
戦争、抗争、虐待……。繰り返される悪しき循環に風穴をあけるため、今、私たちになにができるのか。
いまの時代にこそ読むべき、壮大な人間賛歌です。
【編集担当からのおすすめ情報】
忘れられないのは、第一稿の小説を読んだときの胸の熱さ。
原稿を読みながら、この流れてくる涙はなんだろう、と考えた。言葉にすると「すごい!」しか出てこない。あまりにも大きくて熱くて深い。
一番身近で古内一絵さんの取材、執筆を見ていて、時にはとても心配になりハラハラもした。そのくらい、古内さんのこの作品への熱量はすごかった。ご本人があまりに考えすぎて鼻血を出したり、胃炎になったり、全身全霊で取り組んでいることが痛いほど伝わってきた。
「ありがとう」と思った。この作品を読むことが出来て、幸せだと思った。涙はきっと、女性であり、かつての子どもであり、母であり、娘であり、労働者であり、担当編集者である自分の心からの涙だと思った。
どうか一人でも多くの方の心にこの小説が届きますように。心から祈っています。どうか、よろしくお願い申し上げます。
目次
令和三年 春 5
昭和 1 昭和十九年(1944年) 79
令和三年 初夏 135
昭和 2 昭和二十年(1945年) 156
令和三年 夏 198
昭和 3 昭和四十二年(1967年) 215
昭和四十三年(1968年) 241
令和三年 夏 291
昭和 4 昭和四十五年(1970年) 300
令和四年 夏 336
作者 | 古内 一絵 |
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価格 | 1980円 + 税 |
発売元 | 小学館 |
発売日 | 2023年08月04日 |
『フラダン』

震災後の福島で前向きに生きる高校生の青春
「男のフラ? なぜ俺が」。高校2年生の辻本穣は澤田詩織からフラダンス愛好会にスカウトされる。「穣の体が目当て」と言い切る押しが強い詩織に辟易し逃げていたが、帰国子女のイケメン転入生・柚月宙彦の陽気さや、同じクラスの気になる女子・林マヤの存在もあって渋々入会することに。かくして男子4人を加えた個性派ぞろいのフラ愛好会は新たなステージへ。なんと、男女混合フラで「フラガールズ甲子園」での優勝を目指すことに!
東日本大震災から5年後の福島が舞台。メンバーたちはごく普通に高校生活を送っているように見えるが、皆それぞれの思いを内に抱えている。主な活動である慰問にも真剣に取り組み、夏休み直前には、隣町の仮設住宅で催されたフェスティバルに参加。そこで、「フラダンスを通して、みんなを元気にしたい」と張り切るメンバーに突きつけられた現実。そして……。
果たして「フラガールズ甲子園」への出場は叶うのか? フラ男子たちの活躍やいかに!? 震災後の福島に生きる高校生たちの、涙あり笑いありの青春物語。全国感想文コンクール課題図書、JBBY賞など、数多くの賞に選ばれたベストセラー小説、待望の文庫化!
【編集担当からのおすすめ情報】
本書のテーマの一つは「笑い」です。作中には随所に「笑い」が盛り込まれています。震災により心に傷を抱えていたり、時折閉塞感に押しつぶされそうになったりしてはいても、登場人物たちは青春真っ只中に生きる高校生たち。クスッと笑いながら、そして彼らが乗り越えていかなければいけない厳しい現実にも思いを馳せながら、読んでいただければと思います。単なる青春小説では終わらない奥深さが、大人の心にも刺さります。
巻末解説は南海キャンディーズのしずちゃんこと山崎静代さん!!
目次
プロローグ
危ないストーカー
シンガポールから来た男
アーヌエヌエ・オハナ
オテア
風
フラ男子デビュー
ニュース
仮設訪問
新メンバー
亀裂
過去
それぞれの思い
フラガールズ甲子園
エピローグ
【解説】しんどいときほど、笑顔
山崎静代(南海キャンディーズ)
作者 | 古内 一絵 |
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価格 | 682円 + 税 |
発売元 | 小学館 |
発売日 | 2020年03月06日 |
『赤道 星降る夜』

真実から生まれた、命の重さを問う人間賛歌
ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負った達希(27歳)は発作的に飛び降り自殺を図り、15年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に隠し財産で借金の肩代わりを提案。
そこから祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。そこで出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。将校でも戦闘機乗りでもない大多数を占めた一般兵士の彼らの戦死とは、飢えや伝染病で命を落とす悲惨なものだった。
やがて一行は赤道の街に到着。そこには、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで決して口にすることのなかった、「知られざる謀略事件」とは・・・・。そして、そこに隠された,祖父の過去にまつわる真実とは・・・・・。
【編集担当からのおすすめ情報】
おそらく日本国内ではほとんど知られていない、終戦間近の時期インドネシアで実際に起こった「ポンティアナック事件」がモチーフとなっています。この事件は日本ではほとんど知られていませんが、現地では今も毎年慰霊祭が行われ、忘れられることはありません。それは、決して遠い記憶ではありません。
戦争時は軍隊、現代はブラック企業、有名大学の体育会まで。名前と質こそ違えど、現代も昔も一部上層部の私利私欲のために犠牲になり、苦しむ人々はたくさん存在します。著者の力強い筆に救われ、励まされる方も多数いらっしゃると思います。
こんな時代だからこそ、10代の高校生から戦争を経験された年輩の方々まで、現代を生きる多くの方に是非読んでいただきたい、人間賛歌。
読後は爽やかで、明日を生きる力が湧いてくる小説です。
インドネシアとの国交樹立60周年の今年の夏に、満を持しての文庫化です。
作者 | 古内 一絵 |
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価格 | 737円 + 税 |
発売元 | 小学館 |
発売日 | 2018年08月07日 |
これまでにご紹介した古内一絵さんの作品は、そのどれもが彼女の才能と独特の視点を感じることができる素晴らしいものばかりですよね。心揺さぶるストーリー展開、豊かな描写、深い洞察力、それぞれが読む者に強く感動を伝えてきます。
特に、彼女の作品の魅力は「人間の心情描写」にあります。どんなに込み入った心情でも見事に文字にする力は、読み手を彼女の世界観に引き込んで離さない魅力となっています。繊細さと力強さを兼ね備えたその筆致は、さまざまな感情を呼び起こさせ、思わず深い共感を覚えることでしょう。
また、登場人物たちの人間性が深く描かれている点も見逃せません。彼女の登場人物たちは、喜びも悲しみも、強さも弱さも、すべてを受け入れて生きていく普通の人々で、その人物像は読者の中に深く根を下ろし、長く忘れられない印象を残します。
そして何より、一絵さんの小説が読者に与える「生きる力」が素晴らしい。読み終わった後も、その言葉が胸に残り、日々の生活に何かを考えるきっかけを与えてくれます。
これら6作品は一絵さんの世界を十分に理解するための良さが詰まっており、どの作品もしっかりと読む価値があると断言できます。あなた自身が読んでみて、一絵さんの世界観、言葉の魔法に触れてみてください。きっと、心の奥底にある何かを動かすことができるでしょう。今回紹介した小説以外にも、たくさんの素晴らしい作品を生み出している一絵さん。これからもその躍進に期待したいですね。
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