【金井美恵子作品紹介】文学で旅するヨーロッパ的日本──金井美恵子ブックガイド

金井美恵子さんの作品を読むと、まるで文学的な旅をしているかのような感覚に陥ります。彼女が描く風景は独特の雰四囲気でありながら、ヨーロッパ的なエッセンスが織り交ぜられています。登場人物達の日本人としての感情や思考を描き出す一方で、彼らが抱える葛藤や問題は普遍的なもので、海外の読者にも響くことでしょう。彼女の作品は深い洞察力と鋭い観察眼で描かれ、読者は自分自身を見つめ直す役割を果たします。洗練された文章で綴られる彼女の世界は、まるで美しい絵画を見ているよう。一緒に旅をしましょう。
『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』

物語とドレスと映画と記憶と夢に祝福された言葉の宇宙。“読む快楽・書く快楽”に充ちた前代未聞の小説。
作者 | 金井 美恵子 |
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価格 | 1980円 + 税 |
発売元 | 新潮社 |
発売日 | 2012年01月31日 |
『愛の生活・森のメリュジーヌ』

《わたしはFをどのように愛しているのか?》との脅えを、透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった19歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な究極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞受賞作)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて、細やかで多彩な空間を織り成す、金井美恵子の秀作10篇。
作者 | 金井美恵子/著 芳川泰久/解説 |
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価格 | 1500円 + 税 |
発売元 | 講談社 |
発売日 | 1997年08月08日 |
『軽いめまい』

郊外の住宅地にある築七年の中古マンションで、夏実は夫と小三と幼稚園児二人の息子と暮らしている。専業主婦の暮らしに何といって不満もなく、不自由があるわけでもない。けれど蛇口から流れる水を眺めているときなどに覚える、放心に似ためまいーー。
1990年代の東京。「中産階級」の変わることのない日常。2023年にポリー・バートンによって英訳され、ニューヨークタイムズやアトランティック誌で書評されるなど話題となった。
生活という日常を瑞々しく、シニカルに描いた傑作中編小説。
ケイト・ザンブレノ
「あまりに退屈で売春を始める主婦たちの話が気の利いた挿話として登場するように、たとえばブニュエルの、たとえばゴダールの、たとえばシャンタル・アケルマンの、売春する主婦たちについてのあらゆる映画への目配せがこの小説には見られるのだが、ただしこの小説の中では何も起こらず、退屈そのものがポイントで、じゃがいもの皮はただ剥かれ、皿はただ洗われ、けれど時々、ほんの時折、家事にまつわる瞑想的な瞬間、クラクラするような、あるいはぼうっとするような感覚がふと訪れることがあり、たとえば洗い物をしているとき、蛇口から紐のように絶え間なく流れ出す水や、流れていく水のきらめきに心を奪われてしまう、それこそがポリー・バートンによって「軽いめまい(ルビ:マイルド・ヴァーティゴ)」と訳出された感覚で、この言葉は小説の八番目のセクションのタイトルにもなっている。」
「解説」より
作者 | 金井 美恵子 |
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価格 | 2310円 + 税 |
発売元 | 講談社 |
発売日 | 2025年01月13日 |
『ピクニック、その他の短篇』

感覚的、幻想的イメージ、風刺と暗喩の交錯する詩的文体。時間と空間を否定した特異の作品世界を築き、「桃の園」に描かれる記憶の不明をはじめ、作品の底に澱のように淀む家族の影は、現実の不安を描出する。表題作「ピクニック」のほか、「競争者」「窓」「木の箱」「月」「既視の街」「くずれる水」「豚」「鎮静剤」「家族アルバム」「あかるい部屋のなかで」の12篇を収める短篇集。
作者 | 金井 美恵子/堀江 敏幸 |
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価格 | 2200円 + 税 |
発売元 | 講談社 |
発売日 | 1998年12月10日 |
『タマや 新装版』

孤独な魂と猫(タマ)の奇妙な日々を、独特のユーモアで描く珠玉の連作短編集。
顔が大きくて丸い猫をおしつけられて、ぼくは困ってしまう。間もなく五匹の仔猫も誕生した。気ままで頼りない、おかしな人間たちと猫との日々。さびしさも哀しみもゆるやかに流れ……。英米をはじめ翻訳出版が欧州各地で話題の著者による、猫のようにしなやかな美文。読む喜びをもたらす麗しの連作短編新装版。
タマや
賜物
アマンダ・アンダーソンの写真
漂泊の魂
たまゆら
薬玉
「タマや」について あとがきにかえて
解説 武藤康史
作者 | 金井 美恵子 |
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価格 | 770円 + 税 |
発売元 | 講談社 |
発売日 | 2025年02月14日 |
これまで金井美恵子さんの作品への旅を一緒に楽しんでいただきました。あの情緒溢れる風景描写とリアルな人物心理が作り上げる世界は、まさに魅力的で、一度読み始めると2度、3度と、何度でも訪れたくなるような世界ですよね。
彼女の作品は言葉だけでなく、紙面越しに伝わる感動が日本の本当の魅力をも教えてくれます。また、作家自身が感じた思いがリアルに伝わってきて、まるで自分がその場にいるかのように思える瞬間もある。それは本当に、只ならぬ技術力と感性の持ち主であるということ。作品を手に取り、ひとつひとつの言葉を読み進めるたびにそこに広がる世界に感動し、心が動かされる。そんな体験をぜひ自分自身のものにしてください。
特に、彼女の作品からはヨーロッパ的な日本を感じることができます。その部分がこの作品の魅力の一つとなっています。どこか懐かしく、そして新鮮なその風景は、まるで自分がその場にいるかのような感覚になれます。何度も自分が目を通した文章が、どこか新鮮な風景を描き出してくれる。そこは、まさに金井美恵子さんだからこそ描ける世界だと思います。
まだ読んだことがない方には、ぜひこの機会に彼女の世界を体感してみてください。きっと、あなたの感じる“日本”が豊かに、そして深くなることでしょう。そしてすでに読んだことのある方も、再度彼女の世界へ旅立ってみませんか?新たな発見がきっとあるはずです。いつもより少しゆっくりと、心を込めて読んでみてください。お待ちしています。
これからも金井美恵子さんの作品について、様々な角度から掘り下げていきたいと思います。さまざまな旅を通じて、私たちに新しい視点を提供してくれる作家、金井美恵子さんの作品から目を離さないようにしましょう。そして、その再発見があなたの日々を豊かに彩るかもしれませんね。
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