戦後の日本哲学界において、個性豊かな後進を育てるとともに、大学や学会の運営に多大な功績を残した山本信（一九二四ー二〇〇五）。『ウィトゲンシュタイン全集』や『ライプニッツ著作集』の監修・編者としても、哲学界のみならず、現代日本の知的風土に鮮烈なインパクトをもたらした。「ダンディ」と評されるたたずまいは、辛気くさい哲学者像から遠く、ゼミでは学生たちととことん議論を交わすことを好んだ。自著をまとめることより、他者とのかかわりを優先した。山本信が残した数多くの論考の中から、「山本哲学」の核心につながるものを精選。併せて山本の薫陶を受け、現在多彩なジャンルで活躍する人々による論考とエッセイを収録。今なお哲学し続ける山本信の思想のダイナミズムと生きざまを明らかにする。
ゲスト
『形而上学の可能性を求めて 山本信の哲学』は、山本信の哲学思想を軸に、存在論や形而上学の現代的意義を探求した一冊です。佐藤徹郎氏と雨宮民雄氏が解説を通じて、抽象的概念を整理しつつ具体的に議論しています。特に「形而上学は単なる理論ではなく、人間や世界の理解を深める思索の可能性を開く」という考えが印象的で、現代哲学や思考の幅を広げるための示唆に富む内容でした。
