硬派サスペンスの緊張感がすごい 月村了衛の名作6選!骨太でハマる読む順
月村了衛が描く硬派サスペンスは一味違います。過激なアクションはもちろん、深淵なリアリズムがくすぶります。個々の人間ドラマが熱く交錯し、読むほどに引き込まれていきます。6つの名作を厳選しましたが、全てが一級品。それぞれの作品が織り成すダークな世界観には見るものすべてが飲み込まれてしまいます。他とは異なる濃密な時間を提供してくれる月村ワールド。一度読めば、あなたも絶対にこの世界から抜け出せなくなるでしょう。あえて読む順についても少しふれてみたいと思います。最初は彼の世界観に触れるための作品から、次第にその緻密なストーリーテリングへと深めていく順番が最適です。どこから読み始めても間違いなく骨太のサスペンスを堪能できますよ。
『地上の楽園』
取り返しがつかない。何もかも。北朝鮮に来たときからーー。
在日朝鮮人帰還事業。1959年に始まったそれは、人類史上最悪の「大量殺戮」への序章だった。
大阪に暮らす二人の若者、孔仁学と玄勇太が経験する「地獄」を通して、日本人の差別感情と、政府・マスコミらが犯した大罪に迫る。
エンターテインメント小説界を牽引する著者が、戦後最大のタブー「外国人問題」に切り込んだ、今最も読まれるべき社会派巨編。
| 作者 | 月村了衛 |
|---|---|
| 価格 | 2530円 + 税 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2025年10月21日 |
『虚の伽藍』
より多くの金をつかんだ者が京都を制するーー最後に嗤うのは仏か鬼か。日本仏教の最大宗派・燈念寺派で弱者の救済を志す若き僧侶・志方凌玄。バブル期の京都を支配していたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員……古都の金脈に群がる魑魅魍魎だった。腐敗した燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる凌玄だが、金にまみれた求道の果てに待っていたのはーー。圧巻の社会派巨編。
| 作者 | 月村 了衛 |
|---|---|
| 価格 | 2200円 + 税 |
| 発売元 | 新潮社 |
| 発売日 | 2024年10月17日 |
『十三夜の焔』
天明四年五月の十三夜。御先手弓組番方・幣原喬十郎は、湯島の路上で男女の惨殺体を発見する。傍らには匕首を手に涙を流す若い男が一人。喬十郎は咄嗟に問い質すが、隙をつかれてその男を取り逃がす。やがて、逃げた男は闇社会で名を轟かせる大盗「大呪の代之助」一味の千吉だと判明。殺害された男の周辺を洗う中、再び遭遇するも、千吉は殺害を否定し、再び姿を眩ませる。十年後、喬十郎は、銭相場トラブルで一家を殺害された塩問屋の事件を追う過程で、両替商となった千吉(利兵衛)に出合う。火付盗賊改長官・長谷川平蔵に助言を仰ぐも、突然の裏切りに遭い、左遷されてしまう。己の面目にかけて悪事に立ち向かう喬十郎と、江戸の闇社会に生きる千吉。宿命的な敵対関係を描き出す、血湧き肉躍る時代小説。
【著者略歴】
月村了衛(つきむら・りょうえ)
1963年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。作家。2010年『機龍警察』でデビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトМ1851残月』で第17回大藪春彦賞、同年『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』『ビタートラップ』『脱北航路』などがある。
| 作者 | 月村 了衛 |
|---|---|
| 価格 | 924円 + 税 |
| 発売元 | 集英社 |
| 発売日 | 2025年09月19日 |
『半暮刻』
児童養護施設で育った元不良の翔太は先輩の誘いで「カタラ」という会員制バーの従業員になる。ここは言葉巧みに女性を騙し惚れさせ、金を使わせて借金まみれにしたのち、風俗に落とすことが目的の半グレが経営する店だった。〈マニュアル〉に沿って女たちを騙していく翔太に有名私大に通いながら〈学び〉のためにカタラで働く海斗が声をかける。「俺たち一緒にやらないか……」。二人の若者を通した日本社会の歪み、そして「本当の悪とは」を描く社会派小説。
| 作者 | 月村了衛 |
|---|---|
| 価格 | 2090円 + 税 |
| 発売元 | 双葉社 |
| 発売日 | 2023年10月18日 |
『香港警察東京分室』
アクション&頭脳戦の警察群像エンタメ!
香港国家安全維持法成立以降、日本に流入する犯罪者は増加傾向にある。国際犯罪に対応すべく日本と中国の警察が協力するーーインターポールを仲介役として締結された「継続的捜査協力に関する覚書」のもと警視庁に新設されたのが「特殊共助係」である。だが警察内部では各署の厄介者を集め香港側の接待役をさせる窓際的部署と噂され、「香港警察東京分室」と揶揄されていた。メンバーは日本側の水越真希枝警視ら5名、香港側のグレアム・ウォン警司ら5名である。
初の共助事案は香港でデモを扇動、多数の死者を出した上、助手を殺害し日本に逃亡したキャサリン・ユー元教授を捜索し確保すること。彼女の足跡を追い密輸業者のアジトに潜入すると、そこへ香港系の犯罪グループ・黒指安が襲撃してきた。対立組織との抗争に巻き込まれつつもユー元教授の捜索を進める分室メンバー。やがて新たな謎が湧き上がる。なぜ穏健派のユー教授はデモを起こしたのか、彼女の周囲で目撃された謎の男とは。疑問は分室設立に隠された真実を手繰り寄せる。そこには思いもよらぬ国家の謀略があったーー。
リアルな社会情勢を背景に、警察官の矜持と信念を描きだす。第169回直木賞ノミネート作。
【編集担当からのおすすめ情報】
まさに手に汗握る、圧巻の警察エンタテインメント。緊迫のアクション満載の描写にページをめくる手は止まりません。一方、その背景として描かれている香港の厳しい情勢は、いままさに起きている現実そのものでもあります。フィクションだと笑うことはできない、いつか日本も陥りかねない危険に警鐘を鳴らします。文庫化にあたり、香港の最先端を知るジャーナリスト・小川善照さんの解説も収録します。
| 作者 | 月村 了衛 |
|---|---|
| 価格 | 825円 + 税 |
| 発売元 | 小学館 |
| 発売日 | 2025年06月06日 |
『おぼろ迷宮』
おんぼろアパート『朧荘』に住む女子大生夏芽は、まるで異次元に迷い込んだかのような不可解な出来事に遭遇する。〈謎〉を解決するのは、隣に住む正体不明の老人、鳴滝。尋常ならざる人脈と驚異の推理力を駆使する彼は一体何者なのか。街にはびこる不可思議な事件の謎を、凸凹コンビがスイーツを食べつつ華麗に解決!
| 作者 | 月村 了衛 |
|---|---|
| 価格 | 2200円 + 税 |
| 発売元 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2025年03月01日 |
それでは、ここまで月村了衛氏の骨太かつ硬派なサスペンスの世界を6作品通してご紹介してきました。やはりその魅力は、単純なスリルや恐怖だけでなく、背後に描かれている深い人間ドラマや社会の矛盾にあると感じます。彼の作品を読んでいると、一瞬たりとも目が離せない緊迫感に引き込まれ、たとえ胸が苦しくなっても、手が震えても、ページをめくる手が止まらない。それが月村了衛作品の醍醐味であり、その一方で、何気ない日常の中に潜む狂気や人間の欲望を浮き彫りにします。
そのすべてを一つ一つ丁寧に描写していく様は、まるで名匠の彫刻家が一つの大理石から一つ一つ、じっくりと芸術作品を創り上げるかのよう。しかし、それは決して時間をかけてやさしく創り上げるわけではなく、時には彼自身の手を血だらけにしてでも、必要な部分を削ぎ落とし、真実を見つめるような作品を生み出すその姿勢に敬意を感じます。
そして読み終わった後に残る余韻。現実に引き戻されたくありませんよね。それほどまでに作品の中の世界に引き込まれてしまうのです。読者に対して語りかけるような深みがあるのが、彼の作品の真骨頂だと言えるでしょう。
この記事を通して、これまで月村了衛氏の作品をあまり知らなかった方、またはこれから読もうと思っている方の参考になれば幸いです。そして何より、月村了衛氏の世界にぜひ足を踏み入れてみてください。あなたの心に深いインパクトを残すこと間違いなしのサスペンスが待っています。それでは皆さん、良い読書ライフをお過ごしください。
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