窪美澄3選
窪美澄さんの作品の魅力、それは日常の中に潜む、微細な感情や心の動きを描き出す優れた筆致にあります。
まず一つ目に挙げたい作品は、家庭内で繰り広げられる人間ドラマが見事に描かれている一作。日常と非日常を巧みに交錯させ、そのせつなさと美しさ、そしてユーモラスな面を繊細に描き出しています。
次に紹介したいのは、登場人物たちの心の葛藤を美しく生き生きと描いた作品。人間の心情を、何にも似た形式なく描き出す力強さと深みを感じさせてくれます。
最後に挙げたい作品は、静けさと穏やかさの中に、独特の世界観を醸し出す一冊。微妙にずれた視点から閉ざされた世界を描き出すその独自性は、他の追随を許さないレベル。三つ全てが見事な作品です。
『給水塔から見た虹は』
あなたと私は違う。だから、一緒にいようーー。
『ふがいない僕は空を見た』『夜に星を放つ』の著者が、今を生きる人々に贈る感動作。
【各界からの反響続々!】
なんて誠実な小説なのだろう。今、この時代に、この本と出会えてよかった。--武田綾乃 (作家)
白か黒かでしか断じない、この時代に絶対に有効な“あわい”の物語。--早見和真 (作家)
何度も胸が潰されそうに痛かった。彼らの日々に、どうか幾重にも虹がかかりますように。--町田そのこ (作家)
その人の涙のわけを知らない。分からない。けど私たちは何かを思うことが出来るから見つめながら目を逸らさずに、あなたの話を聞きたい。--山本奈衣瑠 (俳優)
【あらすじ】
中学2年生の桐乃は、団地での暮らしに憂いていた。
郊外にある古い団地群には、様々な国にルーツを持つ人が生活している。そのせいか桐乃のクラスは衝突が絶えず、ベトナム人のクラスメイト・ヒュウがいじめの標的になっていたのだ。
家に帰っても、母の里穂は団地に住む人々を国籍問わず日夜助けており、「娘の私より、他人を優先するんだ」という思いがどうしても消えない。この場所で生活することに対する桐乃の嫌悪感は、日々強まっていく。
そんな中、中学校で起きたとある出来事をきっかけに、桐乃はヒュウと話すようになる。ヒュウは、理由は違えども、桐乃と全く同じことを望んでいた。
「この団地から出て、遠くに行きたい」と。
はじめてできた友達、母とのすれ違いーー。
桐乃・ヒュウ・里穂のそれぞれの視点から、社会に蔓延る様々な分断に翻弄される2人の“こども”が少しずつ“おとな”になるひと夏を描いた、ほろ苦くも大きな感動を呼ぶ、ある青春の逃避行。
【著者略歴】
窪 美澄 (くぼ・みすみ)
1965年東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また同年、同書で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞、22年『夜に星を放つ』で直木三十五賞を受賞。他の著書に『夏日狂想』『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『ルミネッセンス』『ぼくは青くて透明で』などがある。
| 作者 | 窪 美澄 |
|---|---|
| 価格 | 2090円 + 税 |
| 発売元 | 集英社 |
| 発売日 | 2025年07月04日 |
『朱より赤く 高岡智照尼の生涯』
| 作者 | 窪美澄 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | |
| 発売日 |
『宙色のハレルヤ』
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
◆◇あらすじ◆◇
夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。
自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。
ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。
「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)
高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)
自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。
そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていたーー。(「赤くて冷たいゼリーのように」)
--直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編
読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。
海鳴り遠くに
風は西から
パスピエ
赤くて冷たいゼリーのように
天鵞絨のパライゾ
雪が踊っている
| 作者 | 窪 美澄 |
|---|---|
| 価格 | 1870円 + 税 |
| 発売元 | 文藝春秋 |
| 発売日 | 2025年10月08日 |
窪美澄さんの作品をご紹介しましたが、どれも彼女の独特の視点と言葉遣い、繊細な心情描写が詰まっており、既存の枠にはまらないその世界観に魅了されること間違いなしです。ある作品では個性的なキャラクターたちの心の躍動を、あるいは他の作品では、ほのかな哀しみを帯びた日常を描いています。
普通の日常の中にも、人間の心情や葛藤、生きることの不条理さを見つけ出す窪美澄さんの視点は、読む人それぞれの人生や日常に対する考え方に新たな視点を与えてくれます。純粋に面白いだけでなく、読後には深い共感や何かを感じてもらえる、そんな独特の存在感が窪美澄さんの作品にはあります。
そして、そのすべてが緻密に構築された言葉遣いによって表現されます。窪美澄さんの文章は美しく、時に生々しく、時には幻想的で、思わず引き込まれてしまいます。文字から伝わってくる笑いや涙、そして紛れもない「人間」の感情のエネルギーが、読み手の心を揺さぶります。
他にも彼女の多くの作品がありますが、今回紹介した3つの作品は特に鮮やかで深みある作品群です。窪美澄さんの作品が好きな人、これから読んでみようと思っている人、彼女の世界観を初めて知る人、それぞれに新たな発見や感動を与えてくれるはずです。ここでしか味わえない、窪美澄さんの世界をぜひ一度、ご自身の目と心で感じてみてください。
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