窪美澄3選

窪美澄さんの作品の魅力、それは日常の中に潜む、微細な感情や心の動きを描き出す優れた筆致にあります。
まず一つ目に挙げたい作品は、家庭内で繰り広げられる人間ドラマが見事に描かれている一作。日常と非日常を巧みに交錯させ、そのせつなさと美しさ、そしてユーモラスな面を繊細に描き出しています。
次に紹介したいのは、登場人物たちの心の葛藤を美しく生き生きと描いた作品。人間の心情を、何にも似た形式なく描き出す力強さと深みを感じさせてくれます。
最後に挙げたい作品は、静けさと穏やかさの中に、独特の世界観を醸し出す一冊。微妙にずれた視点から閉ざされた世界を描き出すその独自性は、他の追随を許さないレベル。三つ全てが見事な作品です。
『給水塔から見た虹は』
| 作者 | 窪/美澄 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 集英社 |
| 発売日 |
『朱より赤く 高岡智照尼の生涯』
それでも生きろ、と言うのなら──
明治四十一年、十二歳のみつは、実父の持ってきた綺麗な着物に惑わされて、奈良から大阪に出たが、二百五十円で売られたことは後から知った。自分で自分の人生を決めることは出来ないと思い知らされる出来事だった。十三歳で舞妓・菜乃葉となり、旦那に身の潔白を証明するために小指を落としたのは、十四歳。かつて恋心を抱いた役者の写真を持っていたことが原因だった──。
東京に出て、新橋で芸妓・琴葉となった。相場師と結婚し、アメリカに渡った。その土地で出会った女性と恋をした。帰国して映画女優となった……運命に翻弄されながらも、自身の人生を手放さなかった生涯を描く。
【編集担当からのおすすめ情報】
「自分で決める」という行為は、歴史の中で、長いあいだ「女性」から遠ざけられてきた。
テキストレーターのはらだ有彩さんに、本作の解説をご寄稿いただきました。これは冒頭の一文です。歴史に名を残す人物たちの生涯を新たな視点で紐解いた『「烈女」の一生』の著者が、本作の主人公・みつの人生をどのように読んだか。本編とあわせてぜひお読みください。
| 作者 | 窪 美澄 |
|---|---|
| 価格 | 682円 + 税 |
| 発売元 | 小学館 |
| 発売日 | 2025年09月05日 |
『宙色のハレルヤ』
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
◆◇あらすじ◆◇
夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。
自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。
ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。
「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)
高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)
自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。
そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていたーー。(「赤くて冷たいゼリーのように」)
--直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編
読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。
海鳴り遠くに
風は西から
パスピエ
赤くて冷たいゼリーのように
天鵞絨のパライゾ
雪が踊っている
| 作者 | 窪 美澄 |
|---|---|
| 価格 | 1870円 + 税 |
| 発売元 | 文藝春秋 |
| 発売日 | 2025年10月08日 |
窪美澄さんの作品をご紹介しましたが、どれも彼女の独特の視点と言葉遣い、繊細な心情描写が詰まっており、既存の枠にはまらないその世界観に魅了されること間違いなしです。ある作品では個性的なキャラクターたちの心の躍動を、あるいは他の作品では、ほのかな哀しみを帯びた日常を描いています。
普通の日常の中にも、人間の心情や葛藤、生きることの不条理さを見つけ出す窪美澄さんの視点は、読む人それぞれの人生や日常に対する考え方に新たな視点を与えてくれます。純粋に面白いだけでなく、読後には深い共感や何かを感じてもらえる、そんな独特の存在感が窪美澄さんの作品にはあります。
そして、そのすべてが緻密に構築された言葉遣いによって表現されます。窪美澄さんの文章は美しく、時に生々しく、時には幻想的で、思わず引き込まれてしまいます。文字から伝わってくる笑いや涙、そして紛れもない「人間」の感情のエネルギーが、読み手の心を揺さぶります。
他にも彼女の多くの作品がありますが、今回紹介した3つの作品は特に鮮やかで深みある作品群です。窪美澄さんの作品が好きな人、これから読んでみようと思っている人、彼女の世界観を初めて知る人、それぞれに新たな発見や感動を与えてくれるはずです。ここでしか味わえない、窪美澄さんの世界をぜひ一度、ご自身の目と心で感じてみてください。
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