葉真中顕3選
まず一つ目には、おっとりした主人公が可愛すぎるファンタジー作品。小さな幸せを見つける彼の日常が、読む者の心を優しく包み込みます。次に挙げるのは、リアルな社会問題を描いた衝撃作。表面的な美しさだけでなく、人間の核心をえぐり出す彼の筆致は必見です。最後に選んだのは、日常と非日常が錯綜するミステリー。驚きの展開と共に、人間の弱さや強さについて深く考えさせられます。語り尽くせない彼の世界観を、ぜひ直接味わってみてください。
『家族』
「現実の世界では、すんなり完全犯罪を
達成できてしまうこともあるんだって学んだんです」
2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃(おくだいら・みの)と名乗るその女性は、半年と少し前、「妹夫婦がおかしな女にお金をとられている」と交番に相談に来ていたが、「民事不介入」を理由に事件化を断られていた。
奥平美乃の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」…… 彼女を監禁していた「おかしな女」こと夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾を摑まれることなく、結果的に十三人もの変死に関わっていた。
出会ってはならない女と出会い、運命の糸に絡めとられて命を落としていく人々。 瑠璃子にとって「家族」とはなんだったのか。そして、「愛」とは。
「民事不介入」に潜む欠陥を日本中に突きつけた「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント！
| 作者 | 葉真中 顕 |
|---|---|
| 価格 | 1980円 + 税 |
| 発売元 | 文藝春秋 |
| 発売日 | 2025年10月24日 |
『Blue』
平成15年に発生した一家殺人事件。最有力容疑者である次女は薬物の過剰摂取のため浴室で死亡。事件は迷宮入りした。時は流れ、平成31年4月、桜ヶ丘署の奥貫綾乃は「多摩ニュータウン男女二人殺害事件」の捜査に加わることに。二つの事件にはつながりが……!? 平成という時代を描きながら、さまざまな社会問題にも斬り込んだ、社会派ミステリーの傑作！
| 作者 | 葉真中顕 |
|---|---|
| 価格 | 1012円 + 税 |
| 発売元 | 光文社 |
| 発売日 | 2022年02月15日 |
『絶叫』
マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ……。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!? ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作！
| 作者 | 葉真中顕 |
|---|---|
| 価格 | 1012円 + 税 |
| 発売元 | 光文社 |
| 発売日 | 2017年03月09日 |
それぞれ、独自の視点で描かれる人間模様、丁寧に描き上げられた舞台設定、読む者すべてを魅了する緻密なストーリーテリング、これらすべてが葉真中顕さんの作品の魅力です。とくに彼の作品からは、何気ない日常の中に潜む普遍のテーマや人間の本質を描き出す巧みな筆遣いに感動させられます。登場人物たちもまた、決して派手ではないけれど、ひとつひとつが丁寧に描かれています。個々の人間としてのリアリティを持ちながら、その中にある普遍的な人間性にも気づかせてくれます。葉真中さんの作品は、根本的な人間の感情である喜び、怒り、悲しみ、楽しみといったものを、普段はあまり意識しないような小さな出来事を通して読者に届けてくれます。少し難解だと感じるかもしれませんが、面白さが伝わりきれないという方も、じっくりと葉真中さんの世界に足を踏み入れてみることをおすすめします。その風景、登場人物の心情、そのすべてが、あなた自身の心の奥深くにある感覚を動かし、何か新しい発見があるかもしれません。葉真中顕さんの作品は、ただ物語を追うだけでなく、その背後にある深いメッセージを読み解く楽しさもあるのです。それぞれ異なる魅力が詰まった今回紹介した３作品を、ぜひ堪能してみてください。あなた自身の感受性の深さを確かめるような、そんな素晴らしい読書体験が待っているはずです。
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