初めは甘い顔を見せていた白騎士ユリウスは、フレイヤが王子の替え玉として使い物にならないと判断すると手厳しい態度を取るようになります。
自分たちの都合で勝手に巻き込んだ傷心の少女に対して鬼なのか? とつい思ってしまいます。
近衛騎士の選抜でユリウスの従騎士になり、「天国でも地獄でも一緒に門をくぐってやる」とフレイヤに告げたアレクシスとは対照的です。
ユリウスは亡き王子に忠誠を誓い、アレクシスは幼馴染みの泣き虫な少女の心と体を守ることを誓っているのだから、違いがあって当たり前とも言えますね。
誰を見捨てても自分の命を一番に考えることが王子の在り方だと説くユリウスに対して、
皆のことは自分が守る、と初めて強い口調で反発するフレイヤに魅了されます。
一見すると強く見えるユリウスも、主を失ったことで自責し、痛みを抱えたことが歪む表情から窺えてなんだか安心します。
王国南端のレレン砦の責任者であるラーシュ大臣は、緊急伝令を握りつぶしてシグルス帝国に攻撃されている砦を見捨てようとしていました。
王子のカリスマにより大国に勝てると幻想を抱く民の死体を築くより、敵国と繋がる欲深い宰相に玉座をくれてやる方がまし、という言葉に考えさせられます。
援軍が来ない中で戦っている兵士たちの絶望を思い、フレイヤたちは砦に駆けつけます。
敵の攻撃を受けてアレクシスが谷底に落ちてしまうラストを迎え、ハラハラする展開に目が離せません!