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森村の本格的デビュー長編。翌年出版され乱歩賞に輝いた「高層の死角」以前の作品であり、彼の原点を見い出せる貴重な一冊。登山で友情のザイルを結んだ二人の若者を主人公に、それぞれが就く仕事(企業)の冷酷な呪縛を鋭く描きます。本格的推理と人間ドラマを巧妙に入れ込んだ初期の傑作。
日本労災防止協会の医師・秋田は、診療所に送り込まれてきた原因不明の幻覚症状を呈する患者が、日本化成の従業員であることを知った。その会社には、学生時代の山仲間・大西が勤務している。秋田は患者たちが従事していた作業の実態を探るべく、大西に連絡をとるが、出張中というだけで所在は分からなかった。そして他の病院からも同様の症状を持つ患者のカルテが三通回ってきたが、それも日本化成の従業員のものだった…。山仲間との友情を賭けて、非情な企業論理を告発する医師の執念を描く長編社会派ミステリー。
森村の本格的デビュー長編。翌年出版され乱歩賞に輝いた「高層の死角」以前の作品であり、彼の原点を見い出せる貴重な一冊。登山で友情のザイルを結んだ二人の若者を主人公に、それぞれが就く仕事(企業)の冷酷な呪縛を鋭く描きます。本格的推理と人間ドラマを巧妙に入れ込んだ初期の傑作。