戦後の日本が出てくる小説5選
皆さん、こんにちは。今回は戦後の日本を題材にした小説を5つ紹介します。混乱と希望が交差する時代背景が、読み応えのある作品を生み出しています。
まず最初は、大阪のどん底生活を描いた作品。政治がらみの闇と貧困から這い上がる主人公の姿が、リアルかつ痛烈に描かれています。続いて、黒い霧で視界を覆われた東京で起きる不可解な事件を描いた作品。だれもが抱く平和への不安と戦争への悲しみが高まります。
次は北海道を舞台に、戦争後の混乱を逞しく生き抜く若者たちの姿を描いた作品、そして大企業での労働者たちの生きざまを描いた珠玉の一冊です。
最後は、戦後の女性たちの生活とストレスを描いた作品。今も昔も変わらない女性の強さと生き方に深く感じ入ることでしょう。
5つの小説、それぞれに深いメッセージが込められています。戦後の日本と向き合うことで、今の自分たちを見つめ直すきっかけになれば幸いです。
『零から0へ』
1945年、父を戦争で亡くし、聡一は一家を支えるために大学をやめて、鉄道総局の研究所に入所する。そこには、戦争中に軍で戦闘機の設計や製作に関わり、多くの命を奪う結果を生んでしまったことを悔いる壮年の技術者たちがいた。
技術を、人を殺すために使いたくない。平和への想いを込め、不可能と言われながら、東京ー大阪間を数時間で結ぶ高速鉄道の開発に取り組む彼らを手伝ううち、聡一もいつしか想いに共鳴し、没頭していく。
子どもたちを抱え未亡人となった母親、満州での辛い経験を胸に秘める同僚女性、様々な人が、過去を乗り越え、未来へ向かう様を描いた、希望の物語。
作者 | まはら 三桃 |
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価格 | 1760円 + 税 |
発売元 | ポプラ社 |
発売日 | 2021年01月14日 |
『夢見る帝国図書館 (文春文庫)』
作者 | 中島 京子 |
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価格 | 880円 + 税 |
発売元 | 文藝春秋 |
発売日 | 2022年05月10日 |
『夏空白花』
<内容紹介>
1945年夏、敗戦翌日。
昨日までの正義が否定され、誰もが呆然とする中、朝日新聞社に乗り込んできた男がいた。全てを失った今だからこそ、未来を担う若者の心のために、戦争で失われていた「高校野球大会」を復活させなければいけない、と言う。
ボールもない、球場もない、指導者もいない。それでも、もう一度甲子園で野球がしたい。己のために、戦争で亡くなった仲間のために、これからの日本に希望を見せるために。
「会社と自分の生き残り」という不純な動機で動いていた記者の神住は、人々の熱い想いと祈りに触れ、全国を奔走するが、そこに立ちふさがったのは、思惑を抱えた文部省の横やり、そして高校野球に理解を示さぬGHQの強固な拒絶だった……。
<プロフィール>
須賀しのぶ(すが・しのぶ)
1994年『惑星童話』でコバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞しデビュー。2013年『芙蓉千里』三部作で第12回センスオブジェンダー賞大賞受賞。16年『革命前夜』で第18回大藪春彦賞受賞、第37回吉川英治文学新人賞候補。17年『また、桜の国で』で第156回直木賞候補、第4回高校生直木賞受賞。17年『夏の祈りは』で「本の雑誌が選ぶ2017年度文庫ベストテン」1位、「2017オリジナル文庫大賞」受賞。
作者 | 須賀 しのぶ |
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価格 | 858円 + 税 |
発売元 | ポプラ社 |
発売日 | 2020年07月07日 |
『星影さやかに』
●<マカン・マラン>シリーズ著者による感動の家族小説
昭和39年、羽田の町工場で働く良彦のもとに
亡き父の日記が届く。
戦時中に「非国民」と周囲から罵られ、
終戦後も自室にこもり続けた父を、
良彦はかつて軽蔑していた。
しかし、日記を紐解くと、
そこには父が口にすることがなかった想いと壮絶な人生、
そして良彦の家族三代をめぐる数奇な運命が記されていてーー。
解説・中島京子
作者 | 古内 一絵 |
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価格 | 858円 + 税 |
発売元 | 文藝春秋 |
発売日 | 2024年07月09日 |
『鐘を鳴らす子供たち』
〽緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台 鐘が鳴ります キンコンカン メイメイ仔山羊も 鳴いてます…… 。
元気な子供たちの歌声と共に、一斉を風靡した伝説のラジオドラマ「鐘の鳴る丘」。戦後日本を象徴する大ヒットドラマ「鐘の鳴る丘」をモチーフに、突如ラジオドラマに出演することになった子供たちと、自分たちが起こした戦争への後悔に苛まれた大人たちが、力を合わせ生きていく姿を描く感動の物語。
作者 | 古内一絵 |
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価格 | 1760円 + 税 |
発売元 | 小峰書店 |
発売日 | 2020年01月23日 |
それぞれ個性豊かな5つの作品、いかがだったでしょうか。戦後という一見、暗く辛い時代を描いた作品たちは、それほど過去のことでもないこの太平洋戦争を、新たな視点から描いています。
作品の中に出てくるキャラクター達は、時代の流れの中で様々な困難に直面しながらも、前を向いて生きています。彼らが頑張って生き抜く様は、私達が今直面している困難も乗り越える勇気をくれます。
美しい言葉と様々な人間模様が織りなす世界を通して、思わず自分自身を見つめ直すこともあるかもしれません。皮肉にも、過去の出来事から多くの事を学び、自分たちの生き方を見つめ直す契機となるのです。
もしまだ読んだことのない作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。これからご自身が歴史や文化、そして人間そのものについて深く考える手がかりとなることでしょう。苦楽を共にした仲間たちの絆、時に厳しく時に温かい家族の絆、そして日本人が持つ強い生き抜く力。それら全てが、これらの作品の中には詰まっています。
また、これらの作品は決して特殊なケースだけを描いたものではありません。私たち一人ひとりの人生と重ね合わせて読むことで、より深く理解し、より深い感動を覚えることができることでしょう。
私たちの生きる現代も、いずれは歴史として語られる日がくるのですから、ぜひ、戦後の日本を描いたこれらの作品を通して、自分自身と向き合ってみてください。今こそ、歴史を振り返り、私たち自身を見つめ直す良い機会ではないでしょうか。それが、私たちにとっての「今」と繋がる一つの道しるべとなることを、心から願っています。
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